―松竹芸能に所属しながら、鹿児島県鹿屋市の市役所でPR役として勤務しているという、二刀流芸人の半田あかりさん。
鹿屋市行きを決断した経緯や想い、どのような方法で地域に貢献しているのか。
彼女の魅力にいち早く目を光らせたのは、農林水産省より鹿児島県鹿屋市役所へ出向し、副市長を務めていた福井逸人氏。
半田あかりさんご本人と、福井逸人氏にお話を伺いました。
―福井さんが、半田さんを知ったキッカケは何だったんでしょうか?
福井:あらかじめ地域おこし協力隊の候補として「こういう人がいるよ」と教えて頂いてたのですが、ネットで調べたら実績もあって、芸人さんと言ってもすごく可愛い人だな、と思ったのが最初の印象でしたね。
ただ、お会いしてから一つだけ欠点があることに気付いたんですよ。
芸人さんなんですけど・・・ギャグがいまいち。
半田:誰がおもんないねん!!
半田・福井:―みたいな感じでやらせてもらってます(笑)
―お互いの信頼感がすごく伝わってきます(笑)
第一印象はどうでしたか?
福井:「芸人さん」というイメージでは、「破天荒で街を色々かき回してくれるような方」と考えていたんですけど、実際に半田さんとお話してみると、常識人だし、頭も良いし、コミュニケーション能力も高いし、これはすごくいい人だなあと思いました。
半田:すごく常識的に破天荒なことをするタイプですが、大丈夫でしょうか(笑)
福井:僕は元々鹿屋市にいたのですが、「鹿屋市には沢山良いものがある」ということを地元の人に気付いてもらうために、ずっとPRし続けて来たんですよ。それを手伝ってくれる人を探してたので、「この人だったら地域ともコミュニケーションが取れるだろうし、鹿屋市を盛り上げてくれるんじゃないか」と思いました。もう、喉から手が出るほど欲しいと思いましたね。
半田:福井さんの営業力は、すごいんですよ。物凄い熱意が伝わって来たんです。
鹿屋市のゆるキャラを連れて松竹芸能の事務所に来られて、鹿屋市のPRコントのようなことをしながら、歌って踊って。役所の方たちで考えたコントなので、「あー・・・」な空気にはなってしまったんですけど(笑)
後々思うと、芸人でもないのにすごいなって思いましたね。副市長ってすごく賢い方だろうし、こんな空気になるのわかってたけどやったんだろうな、と。
命懸けでやる仕事って芸人だけだと思ってたけど、命懸けの自治体もあるんだ、って思ったんです。
あと、私は大阪の都会で育ったんですが、鹿屋市は電車もないような場所だよって言われて、「まさかそんなおとぎ話みたいな、そんな夢の国あるんですか?」と思って、それもまた興味をそそりました。
―では、福井さんの熱意に押された形で鹿屋市行きを承諾されたんでしょうか?
半田:そうですね。福井さんの現在の活動内容をお聞きして、「あとはあなたがいればこのパズルは埋まる!」と言って頂いたんです。 それを聞いた時、「何かのためになる瞬間がやっと来た!」と思いました。私の集大成が、まちおこしをしているトップの方の右腕になったらどんなことになるのか、すごく興味が湧いたんです。 プライスレスな魅力だと思ったので、鹿屋市行きを承諾しました。
―じゃあ、福井さんじゃなかったらこの話は受けてなかったかもしれない、ということでしょうか?
半田:そうですね。マネージャーから淡々と話を聞いただけだったら、このお話は受けてなかったと思いますね。あとは例えば、名刺と書類だけ渡されて、パワーポイントとか使って説明されるだけだったら、直接お会いしてもたぶん行ってなかったです(笑)
―福井さんの熱意の賜物ですね。
福井:思い出すと恥ずかしいです(笑)
―色々な経緯や想いがあっての決断だったんですね。鹿屋市行きが決まった時、どんな気持ちでしたか?
半田:当時は自分の置かれる状況がわからなかったので、怖いなー、という気持ちが大きかったです。パワー配分がわからないまま突っ走らないといけないし、全てのスタミナを使う覚悟でしたね。
でも今は、まあコケたらコケた時やし、それも計算されてるかな、ぐらいの気持ちでやってます(笑)
―そういった攻めの姿勢があるから、一緒に頑張れてるんでしょうね。
半田:やればやるほど自治体のまちおこしって奥が深いんですよ。地域の方たちの意見やいざこざが、本当に沢山あるんです。自分が1からプランを考える立場だったら、下手打つところだったなと思います。副市長の後ろ盾があったので、やってこられました。
福井さんは、私がやりやすいよう、その時々でミッションを出してくれるんですよ。ゲームで例えたら、クエストみたいな感じですね(笑)
そのクエストを全力でこなして、終わったら次のクエストが来て、こなすごとに装備がついてくる、という感じなので、すごくやりやすかったですね。
福井:1つ指示を出したら、自分で考えてその先のことまでやってくれるので、本当に想像以上の働きをしてくれるんです。
市役所で行われる会議に参加して頂いた時の話なんですが、市役所って上下関係がキッチリしてるので議論が全然進まないんですよ。でもそこに彼女が入ると、良い意味で掻き回してくれるんですよね。
半田:「え、1時間も経ってるのに、何で誰も喋らないんですか!?」って切り込みました。
事前に「会議ってそういうもんだよ」って言ってくれてたら黙ってたんですが(笑)
あまりにも誰も喋ろうとしないので、最初はドッキリかと思いました。
福井:自分が正しいと思うことはどんな相手にもちゃんと伝えられるって、本当にすごいですよね。
そういう、場を掻き回す役をずっとお願いしてたので、半田さんは一時期、自分がトラブルメーカーだと思ってらっしゃったようなんです。
でもそれを聞いて役所の職員が、「あなたは氷山を砕くアイスブレーカーだ」と命名してくれたんですよ。もちろん僕もそう思ってます。
半田:知らず知らずに、ですよね。 自分は何か持ってると思ってたけど、それがアイスピックやったとは(笑)
―アイスピックの要素と、氷山を溶かす要素と両方あったってことですね。
福井:そうですね。ギャグや人の巻き込み方など、彼女から教えてもらったことはいっぱいあるんですよ。 鹿屋のみんなも、半田さんから学んだことや、心動かされたことはいっぱいあると思います。
半田:お互い、すごい刺激を与え合ってますよね。たぶんここ1年、地域の人みんな胃薬飲んでるんじゃないかなと思います(笑)
福井:(笑)
―半田さんは、この1年間で達成したことは何かありますか?
半田:鹿屋市の知名度を上げられたことですね。
鹿児島県って、大隅半島と薩摩半島に分かれてるんですよ。大隅半島は特に山ばかりの半島で、鹿屋市は大隅半島にあるんです。もう一方の薩摩半島には鹿児島市があるので、少し栄えてるんですね。
ただ、鹿児島市の人は、大隅半島のことを全然知らないんですよ。だから鹿屋市のことも知らなくて、「鹿屋市って鹿児島なの?」って言うほどです。
鹿児島県のローカルテレビって、鹿児島市内だけの放送をするんですよ。なので、鹿児島ローカルに出て、まずは市内に知ってもらわないと、九州ローカルには映れないわけですよ。なので、テレビローカルを攻めて行こう、と思ったんです。
露出をとにかく増やそうと思って、「テレビは全部私に回してください」というお願いをしました。役所案件のテレビは全部私が出て、とにかくテレビ局に顔を覚えて頂くようにしたんです。そうしたら半年と経たずに、テレビ2本とラジオ2・3本を、レギュラーという形で持たせて頂くことができたんです!
そのおかげで、鹿児島市の人が鹿屋市のことをだいぶ知ってくだるようになったんですよ。
最初、鹿児島市のテレビ局にご挨拶に伺った時は「鹿屋市って・・・?」って仰られてたのが、今年の春にもう1回ご挨拶に行ったら「鹿屋市は、最近テレビで観ない日はないですよね~」というお言葉を頂いたんです。
これは実績だ、って思えました。
福井:半田さんは自分で企画作って持ち込むもんね。すごいよね。
半田:これで合ってるかはわからないんですけどね。自分でもここまですると思ってなかったです(笑)
福井:これだけ鹿屋市で頑張ってくれてるので、彼女の今後の評価に繋がればいいな、と思ってます。
半田:実は今、有難いことにすごく良いパイプが出来てきてるんです。
テレビ局との繋がりが強くなってきていて、鹿児島市のテレビ局長はもちろん、熊本県や九州のテレビ局の方からも「半田さんでお願いします」ってお声をかけて頂いてるんですよ。
松竹芸能も、最初にご挨拶へ行った時には「半田って誰やっけ?」っていう社員さんも正直沢山いたと思うんですけど、鹿屋市で活動し始めてからはyahooニュースに載せて頂いたり、NEWS23にも出して頂いたり、今はきちんと「半田あかり」って認識してくださってて、こちらでもすごく良いパイプを作って頂けました。
だから、次回リリースされる松竹芸能のLINEスタンプには私も入るかなーって、密かに思ってます(笑)
―撒いた種から、沢山の芽が出て来てるところなんですね。
半田:そうなんです。今は色々なものが広がっていってる所ですね。なので、最近はずっと動き回っています。
福井:でもそのくらい評価されて当然だと思うから、もっともっと全国に出していきたいですよね。
松竹芸能さんのノウハウやパワーを必要としてる自治体って、日本中で沢山あると思うんです。そのためにはまず半田さんを売り出して、「こんな仕組みがあるんだ」ということを全国の自治体に知ってもらいたいですね。半田さんは常に前向きなので、周りにすごく良いパワーをくれるんですよ。
―半田さんは、この先の将来をどんな風に描いてますか?
半田:結婚の話がなければ、松竹芸能には籍を置いたままで、鹿屋市に残ろうかなと思ってます。
鹿児島県は営業がたくさんあるんですけど、土日は毎週と言っていいほど、役所を通してよくお声をかけて頂くんですよ。そこを役所を通さず、直接お受けできたらすごく稼げるのになって思うところがあって(笑)
最近行政の話を聞いて知ったんですが、『地域おこし協力隊の3年間』って、『自立して個人経営ができるようになるための3年間』らしいんですよ。
最初はただ「タレントをやってくれ!」という話しか聞いていなかったので、個人経営する話を知ってからは、そういうのもありかな、と考えるようになりましたね。
―なるほど。福井さんとしては、芸人をまちおこしに呼んだのは成功でしたか?
福井:もう何もかもが想像以上で、大成功でしたね。市民の方からは、「半田さんのおかげでまちが明るくなった」とすごく評価を頂いてます。
半田:有難いことに、役所にも半田ファンクラブがあります(笑)
―現在福井さんは鹿屋市から離れられてますが、半田さんに「こうなってほしい」という希望や期待はありますか?
福井:自分の想いを継いでくれる人がいるのはすごく嬉しい反面、今一人で苦労してるんだな、と思うと申し訳ない気持ちもあります。でもあんまり口出しすると却って失礼なので、遠くから見守ってるような感じですね。
半田:福井さんが退任されて、今、またゼロから始めるところなんです。
でも、まだまだやっていけることは沢山あるので、頑張ります!
―「お笑い芸人」でありながら「地域おこし協力隊」でもあるという、前代未聞なケースであるにも関わらず、数々の実績を残してきた彼女。
その素晴らしい実績の背景は、決して容易いことばかりではなかったと思います。
ただ今回の話を聞いて、彼女の持つ高いコミュニケーション能力と、いつどんな時も前向きでいる姿勢こそが、地域の方々の心を動かしたのではないか、と強く感じました。
今後、日本中の地方自治体で「お笑い芸人」×「地方自治体」という組み合わせの素晴らしさが浸透していくことを願います。
これからの彼女の活躍に、ますます目が離せません!
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